老犬の嘔吐で未消化のフードが出る…よくある原因や受診の目安と吐き出しと嘔吐の見分け方
老犬が吐き戻す姿を目にすると、飼い主としては不安になりますよね。特に未消化のフードを吐き出す場合、一時的なものなのかあるいは病気のサインなのか判断に迷うことも少なくありません。老犬の「吐く」行為には、「吐き出し」と「嘔吐」の2種類があり、それぞれ原因や対処法が異なります。これらの違いを正しく理解し、愛犬の症状を見極めることが健康管理につながります。
老犬の吐き出しと嘔吐の違い

犬が吐き戻す行動は「吐き出し」と「嘔吐」の2種類に分けられ、それぞれ特徴や原因が異なります。どちらの症状なのかを見分けることで、適切な対応につなげることが可能です。
吐き出しは胃に到達する前の内容物が逆流する現象で、比較的食後すぐに起こりやすく、お腹の激しい収縮運動は見られません。一方、嘔吐は胃に入った食べ物や水を胃液とともに吐き戻す行為で、吐く前に腹部の激しい動きが見られるのが特徴です。
老犬の吐き出し(吐出)とは
老犬の吐き出し(吐出)とは、食べ物や飲み物が胃に入る前に逆流して吐き出されることを指します。
吐き出されたものは胃液による消化を受けていないため未消化のままで、食後すぐに起こりやすく、多くの場合、お腹の激しい収縮運動を伴わないのが特徴です。また、食道の形に沿って柱状になることがあり、吐き出したものを再び食べようとする犬もいます。
原因としては、異物の誤飲、食道や喉のトラブル、嚥下(えんげ)障害、食道の異常や病気などが考えられます。加齢によって飲み込む力が弱くなることも吐き出しの原因となるため、老犬では特に注意が必要です。
老犬の嘔吐とは
老犬の嘔吐とは、胃に入った食べ物や水を胃液とともに吐き戻す行為のことです。
吐くものは消化中の食べ物が多く、胃が空っぽの場合は胃液や胆汁(黄色い液体)を吐くこともあります。嘔吐は脳の嘔吐中枢が何らかの刺激を受けて起こるもので、吐き出しと違って前兆があるのが特徴です。
具体的な前兆としては、えづき、よだれ、落ち着きのなさ、震え、唇を舐める動作などがあります。吐いたものには未消化の食べ物が混じることもありますが、形が崩れて消化液が混ざっているのが特徴で食後すぐに起こるとは限らず、時間が経ってから起こることもあります。
また、吐いた後にぐったりする、元気がないといった様子が見られるのも、吐き出しとの大きな違いです。
原因は、食べ過ぎや早食い、空腹、食べ物が合わないといった一過性のものから、胃腸の病気、腎不全、肝不全、腸閉塞、膵炎、尿路結石、寄生虫感染など多岐にわたります。
老犬の吐き出しと嘔吐の見分け方
吐き出しか嘔吐かを見分ける際は、前の行動・吐瀉物の内容・吐いた後の様子を確認することが大切です。
1.吐く前の行動
・吐き出し:前兆なく突然吐き出す。苦しそうな様子は少ない。
・嘔吐:えづき・よだれ・震え・落ち着きのなさ・唇を舐めるなど前兆あり
2.吐しゃ物の状態
・吐き出し:未消化のフードや水がそのまま出る、柱状になる場合もある
・嘔吐:消化が進んで形が崩れた食べ物や胃液・胆汁(黄色い液体)が混ざっている
3.吐くタイミング
・吐き出し:食べた直後や食後すぐに起こりやすい
・嘔吐:食後時間が経ってから起こることもある
4.吐いた後の様子
・吐き出し:比較的ケロッとしていて元気なことが多い
・嘔吐:吐いた後にぐったりしたり、元気がない様子が見られることが多い
これらの点を総合的に判断することで、愛犬が吐き出しと嘔吐のどちらの症状であるかをある程度把握することができます。判断に迷う場合は、動画を撮って獣医師に診てもらうのがおすすめです。
老犬が未消化物を吐き出す主な原因

老犬が未消化のものを吐き出す場合、原因はさまざまです。主に「吐き出し(吐出)」と「嘔吐」のどちらの症状であるかによって、その理由は異なります。
吐き出しは食道や喉に問題があるケースが多く、胃に届く前の食べ物が逆流してしまいますが、嘔吐は胃や消化器官の不調、あるいは全身性の病気によって起こり、胃に入った食べ物が十分に消化されずに吐き戻されます。
いずれの場合も、体調の変化や吐く頻度、他の症状の有無を観察することが大切です。
ここでは主な原因について、詳しく解説していきます。
食べ物を吐き出す原因
老犬が食べ物を未消化のまま吐き出す原因にはいくつかの要因があります。
もっとも多いのは「食べ過ぎ」や「早食い」です。加齢により消化機能が低下すると、大量に食べたり、急いで食べたりしたときに、胃に収まらないあるいは消化が追いつかず、未消化物を吐き出すことがあります。
また、フードの急な変更も、胃腸が慣れず消化不良を引き起こすこともあります。
さらに誤飲・誤食も大きな原因のひとつです。骨、ゴム製品、石、ビニール、おもちゃなどの異物を飲み込むと、食道に詰まったり胃腸に負担をかけ、吐き戻すことにつながります。
特にタマネギ、チョコレート、ぶどう、キシリトールなど、犬に有害なものは、中毒症状として嘔吐を引き起こし、命に関わる危険があるため注意が必要です。
さらに、食道炎や食道狭窄、食道が拡張する巨大食道症といった病気も原因になります。こうした場合は食べ物が胃にスムーズに送られず、吐き戻されやすくなるため愛犬の様子や吐瀉物の状態を詳しく観察し、必要であれば動物病院を受診することが大切です。
胃の内容物を吐き出す原因
老犬が胃の内容物を吐き出す場合、その原因は多岐にわたります。
比較的軽度なものでは、食べ過ぎ、早食い、空腹が関係しており、特に長時間空腹が続くと胃液や胆汁が逆流し、黄色い液体や白い泡を吐く「胆汁嘔吐症候群」を起こすことがあります。
また、ストレス、興奮、乗り物酔いでも吐き出すことがあり、老犬では加齢による消化機能の低下も大きな要因で、食べ物を消化吸収できずに吐き戻してしまうことも。
一方で、胃腸炎、胃潰瘍、膵炎、腸閉塞といった消化器系の病気や、腎不全、肝不全、糖尿病などの全身性の病気の症状として嘔吐が見られることも少なくなく、細菌やウイルス、寄生虫感染も胃の内容物を吐き出す原因となることもあります。
これらの病気が原因である場合は、嘔吐以外にも食欲不振、下痢、発熱、ぐったりするといった他の症状を伴うことが多く、特に胃拡張・胃捻転症候群のような緊急性の高い病気では、吐こうとしても吐けずに大量のよだれが出るなどのサインが見られることもあります。
老犬の胃の内容物嘔吐は、単なる生理現象から重篤な病気まで幅広いため注意深く観察し、異変があれば速やかに獣医師に相談することが重要です。
食道の炎症
食道炎は老犬が吐き出しをする代表的な原因のひとつです。食道炎とは食道の粘膜に炎症が起きている状態を指します。
外傷や激しい嘔吐、薬の刺激などで食道粘膜に炎症が起きると、胃液が逆流しやすくなり、さらに炎症を悪化させるという悪循環に陥ります。
犬は体が横になった姿勢で過ごすため、人間より胃液が逆流しやすい構造です。軽度でも放置すると食道狭窄のように重篤化する可能性があるため注意が必要です。
食道炎の症状としては食べ物や飲み物の飲み込みづらさや頻繁な吐き出しが見られることが多く、獣医師による適切な診断と治療が必要となります。
食道の狭窄
食道狭窄とは、食道が何らかの原因で細くなり食べ物や水が胃にスムーズに送られにくくなる状態を指します。原因は、食道炎の悪化、腫瘍、異物による圧迫などさまざまです。
特徴として、未消化の食べ物を頻繁に吐き出すことがあげられます。診断にはバリウムなどの造影剤を用いたレントゲン検査や内視鏡検査が用いられ、治療では内視鏡と特殊な風船状の器具(バルーン拡張術)などが行われることがあります。
食道狭窄が疑われる場合は、早めに動物病院を受診し適切な診断と治療を受けることが重要です。
吐き出しから原因を特定することは難しい
老犬の吐き出しは原因が多岐にわたるため、見た目だけで特定するのは難しいことが少なくありません。
代表的な原因には、食べ過ぎや早食い、異物の誤飲、食道炎、食道狭窄、巨大食道症、さらに副腎皮質機能低下症や甲状腺機能低下症などがあります。これらは一見よく似た様子でも背景となる病態や緊急度が異なるため、自己判断は危険です。
たとえば、単なる早食いが原因なら大きな問題にはなりにくい一方、食道に異物が詰まっている場合は緊急処置が必要になることがあります。
吐き出しかどうかを見極める際は前述したとおり、吐く前の様子、吐瀉物の内容(未消化か否か)、吐くタイミングや吐いた後の状態などを注意深く観察することが重要です。
それでも専門的な知識がなければ正確な判断は難しく、老犬が吐き出しを繰り返す、他に気になる症状がある場合は、早めに動物病院を受診してください。獣医師は問診や各種検査を通じて原因を絞り込み、適切な治療法を提示してくれます。なお、吐いた様子を動画で記録したり、吐瀉物の写真や情報を持参すると診断の助けになることがあります。
老犬の嘔吐に見られる特徴と種類

老犬の嘔吐は、胃の内容物そのものだけでなく、色・性質・吐く前の行動などからさまざまな情報を読み取ることができます。嘔吐は脳の嘔吐中枢が刺激されて起こるもので、中枢性嘔吐と反射性嘔吐の2種類に分類されます。
また、吐瀉物の色は原因となる病気を推測するヒントになります。これらの特徴を理解しておくと、異常の早期発見と適切な対応に役立ちます。
胃の内容物を吐き出す行為
犬の嘔吐は、胃の中のものを吐き出す行為で、吐瀉物には消化途中の食べ物が多く含まれます。胃が空っぽの場合は胃液や十二指腸液を吐くこともあります。
嘔吐には吐く前に前兆があることがほとんどで、えづき、よだれ、落ち着きのなさ、喉の音、腹部の強い収縮などが見られます。中枢性嘔吐でも反射性嘔吐でも共通して、お腹の激しい動きや、噴き出すような吐出が起こり、吐いた後にぐったりするなど体調の悪さがうかがえる点が「吐き出し」との違いです。
吐瀉物は形が崩れて消化液(胃液・胆汁)が混ざるのが特徴ですが、状況によっては未消化の食べ物が混じることもあります。
老犬の嘔吐物の色による判断
老犬の嘔吐物の色は、愛犬の体内で何が起こっているかを知る重要な手がかりとなります。
以下はあくまで目安であり、最終的には獣医師の診断が必要です。
・白い泡/透明
胃液や唾液、直前に飲んだ水が逆流した可能性。
空腹やストレスによる胃のむかつきが原因であることが多い。
繰り返す場合は脱水に注意。
・黄色
胆汁が胃に逆流し起こる「胆汁嘔吐症候群」が疑われる。
長時間胃が空っぽになると起こりやすい。
(明け方や夕方、食事の間隔が空く時間帯に多い)
頻繁に吐く場合は受診を検討。
・緑色
胆汁量が多い、または草などの摂取が原因であることも。
・茶色っぽい/ドッグフードの匂いがする
未消化のフードや食べた直後の嘔吐の可能性がある。
・赤色・ピンク・コーヒーのような色の液体
口腔内、食道、胃、あるいは腸からの出血が考えられ、非常に危険なサイン。
胃潰瘍や腫瘍、胃腸炎など重篤な病気が隠れている可能性があり、至急受診が必要。
・黒色
上部消化器官からの出血が原因である可能性が高く、緊急対応が必要です。
犬の嘔吐の分類

犬の嘔吐は原因とメカニズムにより大きく2種類に分けられます。ひとつは中枢性嘔吐、もうひとつは反射性(末梢性)嘔吐です。これらを理解しておくと、嘔吐がどこで・なぜ起きているのかを把握しやすくなります。特に老犬では、この分類の理解が病気の早期発見や適切な受信判断に役立ちます。
中枢神経系の影響(中枢性嘔吐)
中枢性嘔吐は、脳にある嘔吐中枢が直接刺激されて起こります。胃腸に明らかな問題がなくても生じるのが特徴です。原因としては、脳腫瘍、脳炎、脳梗塞、脳出血などの脳の病気、乗り物酔いなど大脳皮質・前庭からの刺激、代謝異常(糖尿病など)、特定の薬剤の影響などがあげられます。
同時に出やすいサインとして、食欲不振、ふらつき、痙攣、意識の変化などの神経症状です。比較的重篤な病気が隠れている可能性が高いといわれているため、こうした症状が伴う場合は、速やかに動物病院を受診し、精密な検査を受けることが重要です。
反射によるもの(反射性/末梢性嘔吐)
反射性(末梢性)嘔吐」は、消化管・循環器・泌尿生殖器など脳以外の臓器からの信号が迷走神経や交感神経を通じて嘔吐中枢を刺激することで発生します。胃腸のトラブルで見られることが多いタイプです。
主な原因は、食べ過ぎ、早食い、空腹、食べ物が合わない、胃腸炎、胃潰瘍、膵炎、腸閉塞などの消化器系の病気、腎不全、肝不全、子宮蓄膿症など消化器以外の内臓の病気、異物誤飲、中毒です。
特徴として強い吐き気や腹部の激しい収縮運動を伴い、下痢、発熱、腹痛、元気消失などの症状が同時に見られることがあります。
老犬では、加齢による内臓機能の低下が原因になることも。反射性嘔吐は、原因が多岐にわたるため、他の症状と合わせた総合的判断をし、必要に応じて適切な検査と治療につなげられるように獣医師に相談しましょう。
老犬の嘔吐の原因は必ずしも病気ではない!

老犬が嘔吐すると、飼い主さんは病気を心配しがちですが、必ずしもすべてが病気によるものとは限りません。犬は体の構造上、人より嘔吐しやすく食べ過ぎ、早食い、空腹、食べ物が合わないといった日常的な要因や、ストレス、興奮、乗り物酔い、散歩中に草を食べた刺激でも起こります。
吐いた後でも元気で食欲があるなら、しばらく様子を見ても問題ないケースが多いです。ただし老犬は体力が低下により、脱水や誤嚥性肺炎のリスクが上がります。繰り返す場合や他に気になる症状がある場合は、早めに動物病院に相談することをお勧めします。
老犬の嘔吐を引き起こす病気は?
老犬の嘔吐には単なる一時的な体調不良だけでなく、さまざまな病気が隠れている可能性があります。
・消化器系:胃腸炎、胃潰瘍、膵炎、腸閉塞、寄生虫感染
(多くは下痢・腹痛・食欲不振を伴う)
※特に膵炎は高脂肪食の後に発症しやすく、急性膵炎では嘔吐がよく見られます。
・消化器以外の内臓:腎不全、肝不全、糖尿病、尿路結石、子宮蓄膿症
※これらの病気は体全体の機能に影響を及ぼし、嘔吐という形で症状が現れます。
・行動/内分泌/神経:ホルモンや脳の病気による食欲の異常や異嗜症(非食物を食べる)
→ 誤食を繰り返すことで嘔吐につながる
・腫瘍(がん):胃腸や他臓器の腫瘍でも嘔吐を引き起こすことがあります。
・中毒:タマネギ、チョコレート、ぶどう、キシリトール、殺虫剤、農薬、人間の薬
※重篤な中毒症状として嘔吐が見られ、命に関わることがある
老犬は若い犬に比べて体力がなく病気の進行も早いため、重症化しやすい傾向があります。嘔吐に加えてぐったりしている、食欲がない、繰り返し吐く、血が混じる、黒色便、発熱、腹部膨満などがあれば、速やかに動物病院を受診するようにしてください。
すぐに病院へいくべき症状とは?

老犬が吐いてもすべてが緊急受診の対象ではありません。ただし、特定のサインが見られる場合は迷わず受診すべきです。老犬は体力が低下しているため、症状が急速に悪化しやすい傾向があります。早期の対応は脱水・ショック・誤嚥性肺炎などの重症化を防ぎます。以下に挙げる症状は、特に注意が必要な危険なサインです。
頻繁な吐き戻し
短時間のうちに何度も吐く、1時間に1回以上吐く、半日で3〜4回異常といった頻回の嘔吐は受診の対象です。嘔吐を繰り返すと脱水・電解質異常・低血糖が進み、老犬では急速な衰弱につながります。
その背景に胃腸炎、腸閉塞、膵炎、腎不全、中毒、異物誤飲など、緊急性の高い状況である可能性も否定できません。自宅ではすぐに食べさせない、水は少量を間隔をあけて与えるにとどめ、吐瀉物の写真や量・色を記録しましょう。
皮膚をつまんで戻りが遅い、歯茎が乾く、尿量が減るなどは脱水のサイン。こういった場合や吐き戻しの頻度が高い場合は、自宅で様子を見るのではなく、速やかに獣医師の診察を受け、適切な診断と治療を開始することが大切です。
呼吸の異常
嘔吐に加えて呼吸が荒い、苦しそう、速い(安静時40回/分超の目安)、咳・ゼーゼー音、舌や歯茎の色が紫〜白っぽい(チアノーゼ)は緊急です。嘔吐物が気管に入ることによる誤嚥性肺炎や心不全・肺水腫・気道閉塞などの可能性があります。
誤嚥性肺炎は高齢の犬では特に重症化しやすく命に関わる危険性があるため、迅速な対応が必要です。前足を広げて首を伸ばす姿勢(起坐呼吸)、泡状の分泌物、発熱やぐったりがあれば重症度が高いサイン。病院へ電話して到着時刻を伝え、指示に従うと酸素投与などの準備がスムーズです。
自宅で無理に飲食させない、横向きで頭部をやや下げて搬送すると誤嚥リスクを下げられます。呼吸の異常が見られた場合は、様子見をせずにすぐに動物病院へ連絡し指示を仰ぎましょう。
血や赤みがかった液体を吐く
老犬が血や赤みがかった液体を吐いた場合は、非常に危険なサインです。すぐに動物病院を受診すべき症状です。吐瀉物が鮮やかな赤色なら、口腔内・食道・胃の入り口などからの新鮮な出血が考えられます。
一方、うっすらと赤い色、ピンク色、コーヒーのような色(黒褐色)のときは、胃や十二指腸、腸からの出血で、すでに時間が経っている可能性があります。これらの出血の背景には、胃潰瘍、ポリープ、食道炎、胃腸の腫瘍など重い病気が隠れていることも少なくありません。
また、異物の誤飲で口の中や消化器官が傷つき、出血している場合もあります。老犬は体力が低下しており、出血による貧血やショック症状が進みやすいため、様子見は避けて一刻も早く病院へ連れて行き獣医師の診察を受けましょう。
排泄の異常
老犬の嘔吐に加え排泄の異常が見られる場合も、すぐに動物病院を受診すべき重要なサインです。下痢や血便を伴う嘔吐は、胃腸炎・感染症・寄生虫感染、あるいはより重い消化器系の病気の可能性を示しています。
特に黒いタール状の便(黒色便)は、胃や小腸からの出血が疑われ、非常に危険です。また、尿の量が極端に少ない、まったく出ていないといった排尿異常は、腎不全や重度の脱水が考えられます。
腸閉塞では、嘔吐と同時に便が出なくなることがあります。これらの排泄異常は、老犬の体内で深刻な問題が進行している可能性があり、体力の低下や脱水の悪化につながりやすくなるため、迅速な獣医師の診断と治療が必要です。嘔吐と排泄の異常が同時に見られたら、迷わず動物病院に連絡し、指示を仰ぎましょう。
意識の喪失
老犬が嘔吐した後にぐったりして意識がない場合は緊急性が非常に高い症状で、直ちに動物病院へ連れて行く必要があります。意識の喪失は、重度の脱水、低血糖、脳の異常、重篤なショックなど、命に関わる深刻な状態を示しています。
老犬は若い犬に比べて体力がなく容体が急変しやすいため、一刻の猶予も許されません。
吐いた後の痙攣やぐったりするなどの神経症状があれば、脳腫瘍・脳炎など中枢神経系の病気の可能性も考えられます。さらに胃拡張・胃捻転症候群のように、急激に体調が悪化して意識が朦朧となる病気も存在します。
これらは、自宅での様子見が許されない状況です。速やかな獣医師による診断と治療が不可欠なので愛犬の命を守るためにも、異常を感じたらすぐに動物病院に連絡し、指示に従って行動しましょう。
老犬に多く見られる嘔吐や吐き出しは、若い犬にも起こりうる

老犬に嘔吐や吐き出しが多いのは事実ですが、若い犬にも起こりうるものです。犬は体の構造上、もともと嘔吐しやすい動物といわれています。若い犬でも、食べ過ぎ・早食い・合わないフード・異物誤飲・空腹・ストレス・車酔いなどが原因で吐き戻すことも。
特に子犬は消化器官が未発達のため、些細なことで嘔吐しやすい傾向があります。一方、老犬の場合は加齢による消化機能・嚥下機能の低下やさまざまな病気を抱えている可能性が高いため、若い犬以上に注意深い観察と慎重な対応が必要です。
老犬の嘔吐や吐き出しは体力の消耗や誤嚥性肺炎のリスクを高めます。若い犬でも、一時的なものであれば心配ないことが多いですが、頻繁に繰り返す、他の症状を伴う場合は、老犬と同様に動物病院での診察を受けるようにしましょう。
老犬が吐いた際の対応と注意点

老犬が吐いたら、慌てずに状況を整理し、吐き出しと嘔吐の違いを踏まえて吐いた物の内容・直前の行動・その後の様子を注意深く観察しましょう。
緊急性の高いサイン(頻回、血混じり、呼吸以上、意識低下など)がある場合は、迷わず受診してください。そうでない場合でも、自宅での適切な対処法で愛犬の負担を軽減してあげることが大切です。
動物病院への相談の目安
以下のいずれかに当てはまるときは、受診や相談を優先しましょう。
・頻度
1時間に1回以上、または1日に何度も繰り返し吐く。
※脱水症状や体力低下を引き起こし、急激に衰弱する恐れがある
・吐瀉物の内容
血が混じる・赤みがかった液体・コーヒーのような黒い塊の場合。
異物(おもちゃの破片など)は中毒や腸閉塞のリスクあり。
・全身状態の変化
吐いた後に元気がない・ぐったりする・痙攣・意識がない
舌や歯茎が紫・白っぽい、呼吸がおかしいなど
明らかに普段と違う様子がある場合は迷わずに受診を。命に関わる可能性があります。
・併発症状
下痢・発熱・食欲不振(とくに2日以上)・排泄異常(便秘や尿量の減少)・腹部膨満。
病気が潜んでいる可能性が高いため受診を検討しましょう。
・ハイリスク
子犬・老犬・持病がある犬は悪化しやすいため、早めの相談が安心。
受診時には、吐いた日時、回数、色や量、内容物、吐く前後の様子、飲んだ薬、食事変更の有無などをメモや写真で伝えると診断の助けになります。
老犬が吐いた時の対処法
緊急サインがない場合に自宅でできる対処法です。
ただし、改善しない・悪化する場合は迷わず受診するようにしましょう。
1.安全確保と記録
・吐瀉物はすぐに片付けて周囲を清潔に保ち、吐瀉物を犬が再び食べてしまうことを防ぐ。
・嘔吐物の色・量・内容物を観察し、可能であれば写真で記録しておく。
2.胃腸を休ませる
・再嘔吐を防ぐためすぐの飲食は控える。
(獣医師によって半日〜1日程度の絶食を推奨する場合あり)
・獣医の指示がない場合は短時間の絶食を検討。
・その後、がぶ飲みは避け、水は少量ずつ間隔をあけて与える。
(吐かないようであれば少しずつ量を増やしていく)
3.食事の再開は少量で消化によいものを
・状態が落ち着いたら、消化のよいフードを少量・複数回に分けて与える。
※ふやかす・ウェットフードにするなど愛犬が食べやすい形状に工夫。
・消化機能が低下している老犬は、食事回数を増やすことで空腹による嘔吐を防げる。
4.原因への対策
・早食いが原因
早食い防止用の食器を使う・食事を小分けにする。
・ストレス・不安が原因
生活環境の見直し(落ち着ける場所の確保、滑り止め、バリアフリー化)をする。
視力・聴力・筋力の低下にも配慮した環境がベスト。
これらはあくまで一時的な対処法です。症状が改善しない・悪化する・他症状を伴う場合は、自己判断せずに必ず動物病院を受診してください。
特に、老犬は体力が低下しており病気の進行も早いため、少しでも異変を感じたらためらわずに獣医師に相談することが安心につながります。
まとめ
老犬の嘔吐の原因は、単なる生理現象から重い病気まで多岐にわたります。まずは吐き出し(胃に届く前の未消化物が戻る/食道・喉の問題が関与)と嘔吐(胃の内容物が戻る/胃腸の不調や全身性の病気が原因)の違いを正しく見極めることが、適切な対応への第一歩となります。
嘔吐が頻繁に繰り返し起こる・吐瀉物に血が混じる・ぐったりする・呼吸がおかしいなど異常な症状を伴う場合はすぐに動物病院を受診することが重要です。
老犬は体力や免疫力が低下しているため、脱水や誤嚥性肺炎のリスクも高く、症状が急変する可能性もあります。日頃から愛犬の食事や排泄、行動の変化などを注意深く観察し、異変があれば早めに獣医師に相談するようにしましょう。
あわせて消化に配慮した食事管理(少量・複数回、早食い対策)や安心して過ごせる環境づくりを行うことで、嘔吐のリスクを軽減につながります。愛犬のサインを見逃さず、適切なケアを心がけましょう。


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