膵臓

犬の糖尿病の時に与える食事やドッグフードはどれを選べばいいの?

犬は糖尿病になってしまうと、インスリン不足により、体内の細胞に十分な栄養素がきちんと供給されなくなってしまうことで細胞が餓死状態(栄養素不足)に陥ってしまいます。
そのため、食欲増加を初め多飲多尿などの症状などが見られます。犬の糖尿病の治療は基本的にインスリンの投与を行いますが、普段から食べる食事や運動も大切な対策になってきます。
ここでは、犬の糖尿病の基本情報から食事管理や療法食の選び方、具体的な手作りレシピなどをご紹介していきます。

犬の糖尿病、症状や原因

犬の糖尿病の原因は?

まず初めに糖尿病とは、膵臓にあるβ細胞から分泌されるインスリンというホルモンが血糖値を低下させる働きを持ちますが、そのインスリンが機能しなくなることにより、血糖値が上昇してしまう病気です。
また、糖尿病になる犬は約100頭に1頭ほどと言われております。

よく見られる「犬の糖尿病」の症状

犬の糖尿病の症状

犬の糖尿病になった初期症状としては、飲水量や尿量の増える多飲多尿や、食欲は増加しているのに体重が減少してしまうといったことがみられます。
また、症状が進行していくと、体の中の細胞が「糖」を上手くエネルギーとして活用ができないために、代わりに「脂肪」を使用することで「ケトン体」が生成され血液中に含まれている有害な物質が増加していくことにより「ケトアシドーシス」という状態になります。それにより、食欲不振や元気の低下、嘔吐や下痢などといったの症状を引き起こしてしまいます。

また、見た目で分かりやすい変化としては、短期間で「白内障」を発症してしまうことがあり、これにより糖尿病が発見されることもあります。

よく見られる「犬の糖尿病」の原因は?

犬の糖尿病の原因は?

犬が糖尿病になってしまう原因にはⅠ型糖尿病で見られる「インスリン欠乏性」II型糖尿病で見られる「インスリン抵抗性」の2つに大別されます。

Ⅰ型糖尿病で見られる「インスリン欠乏性」では、膵臓で作られるインスリン分泌が低下してしまう病気であり、自己免疫性特発性の原因などによって引き起こされます。
自己免疫性の糖尿病では、インスリン分泌を行う膵臓にあるβ細胞が自分自身にある免疫細胞による攻撃を受け破壊されてしまうことによるインスリン不足に陥ってしまう自己免疫疾患になります。
特発生原因が分からないものを言います。中齢から高齢の犬で多く見られることがあり、先天的な要因や膵炎、免疫異常などが原因だと言われています。

II型糖尿病で見られる「インスリン抵抗性」は、インスリンを体中の細胞が受け取ることに鈍感になってしまっている状態にあり、先天的なものからホルモン異常、環境やステロイド製剤によるものなどいくつもの原因が重ってしまうことで引き起こされてしまうことがあります。

糖尿病の犬が気をつけたい食事療法ポイント

私たち人間の糖尿病のケースと同じで、糖尿病になったわんちゃんもしっかりと食事に配慮していくことが大事になってきます。糖尿病は合併症や基礎疾患などから発症するケースも少なくないため、獣医師さんのアドバイスに基づいて食事プランを調整することが大切になってきますが、ここでは糖尿病による気をつけておきたい基本的なポイントをご紹介します。

糖質を制限する

糖尿病の犬の食事制限では糖質を制限してあげることが必要になってきます。また、糖質には種類があり、「単糖類・二糖類」「多糖類」などが存在します。「単糖類と二糖類」は急速に血糖値を上昇させる傾向があるため避けましょう。
同じ糖質においても単糖類・二糖類」よりも「多糖類」の方が糖尿病の管理に適していると言われています。

単糖類・二糖類の食事とは?

糖質は注意

糖の中での種類で単糖や二糖が挙げられますが、以下のようなものになります。

砂糖(単糖):砂糖はグルコースとフルクトースからなる単糖であり、急激な血糖値の上昇を引き起こします。砂糖を含む食品や加工食品、甘いおやつなどになります。
ブドウ糖(単糖):ブドウ糖は砂糖と同様に急激な血糖値の上昇を引き起こします。直接食べることはないかもしれませんが、ブドウ糖を含む食品や飲み物など避けましょう。
果糖(単糖):果糖はフルーツやハチミツに含まれる単糖です。果物や果物ジュースは糖質が多く含まれており、血糖値の急激な上昇をもたらすことがあるため、摂取の制限必要です。
蔗糖(二糖):蔗糖はさとうきびや甘蔗から抽出され、グルコースとフルクトースからなる二糖です。加工食品や甘いお菓子、砂糖が含まれる食品は蔗糖を含むことが多いため避けましょう。
ラクトース(二糖):ラクトースは乳糖とも呼ばれ、牛乳や乳製品に含まれる二糖です。犬の中には乳糖不耐症の子もいるため、乳製品の摂取には注意が必要です。

多糖類の食事は?

糖類の種類①

穀物類:多くの穀物にはデンプンという多糖が含まれています。小麦や米、オーツ麦やトウモロコシなどが挙げられます。
これらの穀物も糖質が多く含まれるため、代わりに「玄米」や「大麦」などに置き換えてあげた方が良いでしょう。
パン:一般的なパンは小麦粉を主成分とし、高糖質です。糖尿病の犬は通常のパンを避けることが推奨されています。
シリアル:シリアル類は多糖が含まれており、糖尿病の管理には適さない場合があります。与えた時は糖質を制限したシリアルやグラノーラなどに置き換えましょう。
パスタ:パスタも小麦粉から作られており、高糖質です。多くの場合、糖尿病の犬には制限が必要です。与えた際は低糖質で食物繊維の多い玄米麺や蕎麦麺などに置き換えるなどをおすすめします。
ポテト(ジャガイモ):ジャガイモは多糖質であり、血糖値を上昇させることがあるため、低GI食材(糖質指数)であるさつまいもなどを置き換えた方がいいでしょう。ただし、さつまいもも糖質が含まれているからあくまでも置き換えという視点で検討しましょう。

糖尿病のわんちゃんの食事管理は、穀物や多糖質食品を制限し、代わりに低糖質で高タンパク質の食事を提供することが一般的ですが、獣医師のアドバイスに従い、食事プランを個別に調整してあげることが重要になってきます。

2.栄養管理としたタンパク質の補給

鶏肉

各栄養素をバランスよく摂ることが大切な食事管理の上で「タンパク質」も適正な筋肉量を維持していくために必要不可欠な栄養素となってきます。その中でも以下のような低脂肪で高タンパク質な食材を選ぶようにしましょう。

鶏肉:皮を取り除いた鶏肉は、低脂肪で高タンパク質な食材となります。特にササミやムネ肉を選びましょう。
魚類: 鮭、鱈、サーモンなどの魚は高品質のタンパク質と健康に良い脂肪(オメガ-3脂肪酸)を提供します。ただし、骨や刺を取り除いて提供することを忘れずに。

生きていく上で必要不可欠な栄養ですが、糖尿病に伴い「腎疾患」などを併発してしまっている場合などはタンパク質の制限などが必要になってくるため、しっかりと獣医師のアドバイスに従って調整をしてあげましょう。

3.低脂肪

ブロッコリー

低糖質だけでなく低脂肪な食事も重要になってきます。低脂肪の食事は、体重管理と全体的な健康にも役立ちます。

低脂肪の乳製品:低脂肪ヨーグルトや低脂肪カッテージチーズなどの低脂肪の乳製品は、タンパク質とカルシウムを供給しつつ脂肪を制限するのにも役立ちます。
豆腐類:豆腐は植物性のタンパク質源となり低脂肪となっています。また、カロリーも控えめな上に失った水分をしっかりと補給できるため、適量に与えることでおすすめの食材でもあります。
野菜類:低糖質で低脂肪の野菜は、糖尿病の犬の活用でき、「ブロッコリー」や「ケール」、「アスパラガス」などが挙げられます。

糖尿病にかかってしまうと、膵炎やクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)、高脂血症(高脂血症犬症候群)なども併発してしまっている恐れもあるため、しっかりと獣医師のアドバイスをもらいつつ食事プランを立てていきましょう。

食事療法の実践方法は?

療法食

ここまで糖尿病の犬の食事の栄養素について、「注意したい点」や「取り入れたい栄養素」などをについてご紹介しましたが、どのように上手く取り入れていけばいか分からないケースもあると思います。

ここからは、糖尿病の犬の食事においてどのようなドッグフードやご飯を選べばいいのか?「療法食」や「手作り食」について、ご紹介していきます。

療法食とは?

療法食とは、特定の健康問題や疾病状態を持つ犬のために設計された特別な食事のこと言います。これらの食事は、犬の健康状態を改善し、特定の疾患や症状の管理や治療を支援するために配合されています。犬の療法食は通常、獣医師の指導のもとで使用され、特定の栄養要件や制約に合わせて調整されます。

糖尿病用の療法食の特徴や種類は?

糖尿病用の療法食の特徴や種類は?

病院や店頭でも販売されている糖尿病用の特徴としては「体重過多」や「高血糖」の犬のために調整されたドッグフードとなっています。
そのため、「低糖質」や「低脂肪」に加え、インスリンの感受性を向上させると言われている「カルニチン」の配合や最適なタンパク量の調整、血糖値上昇を抑制するための豊富な食物繊維などが特徴となっています。
また、糖尿病の犬に加え、「肥満の犬」や「膵炎」の時なども同じ療法食を使用することもあります。
このように、特定の健康問題のある犬に与えるフードとなっているため、「健康な犬」や「長期間での使用」は栄養バランスの偏りから注意が必要となってくるため、しっかりと獣医師のアドバイスのもと与えるということが大切になってくるのです。

糖コントロール

ロイヤルカナンから販売されている「糖コントロール」は、「糖の吸収速度が遅い炭水化物」としてされている大麦を使用し、「タンパク質を増量」した設計で作られています。
また、サイリウムなど複数の「食物繊維」を含有しており、糖の急激な上昇を抑制するように配合されています。
糖尿病の犬に加え、肥満傾向にある犬(避妊手術や去勢後)などにも勧められることがあるのも特徴です。

w/d(ダブリューディー)

ヒルズから販売されている「w/d」は、「低脂肪」・「低カロリー」、「高レベルのL-カルニチン」の配合に加え、「可溶性繊維」と「不溶性繊維」のバランスの良い組み合わせを実現した療法食となっています。また、「マグネシウム」と「塩分含有量を調整」した設計は「脂肪代謝」や「筋肉量の維持」に加え、体重維持にも役立つ設計となっています。

療法食には様々なタイプも

このように各社から糖尿病の犬の為に考えられた処方食は販売はされています。また、ドライフード以外にも半生フード・缶詰などもあったりします。せっかく設計された処方食でも食べてくれなければ意味がありません。獣医師さんに相談しつつその子にあったタイプの処方食を食べさせてあげましょう。

 

糖尿病用の手作り食

糖尿病になってしまった我が子に手作りの食事を与えたいという方も少なくないと思います。そんな方のために、これまでのポイントを押さえたレシピをいくつかご紹介いたします。
※実際に与える際には獣医師と十分に相談して行ってください。

糖尿病の犬の手作り食の実践①

材料

鶏オクラ蕎麦

5kg成犬の1食分
(カロリー:206㎉)

■材料

鶏もも肉 70g(オクラ(冷凍)40g蕎麦 30g干し椎茸 15gブロッコリー(冷凍)140g

血糖値を上げにくくする食材を使った鶏オクラ蕎麦になります。オクラのとろみと炒めた鶏肉の旨味がギュッと溢れるお蕎麦でわんちゃんもガツガツ食べてくれること間違いなしです。 材料もたった5つでできるので簡単に準備できます。

■作り方

①干し椎茸は水で戻し一口サイズにカットします。ポイントは干し椎茸の石づきは与えないようにしましょう。

蕎麦と鶏肉も一口サイズにカットしていきます。

フライパンに鶏肉を入れ、焼き色がつく程度まで炒めていきます。

鍋に干し椎茸、蕎麦、オクラ、炒めた鶏肉を入れ煮込んでいきます。

水気がなくなるまで煮込みます。

⑥完成

血糖値を上げない鶏オクラ蕎麦

動画で見たい方はこちらから見てみてください。

「犬の糖尿病改善レシピ」血糖値を上げない簡単犬ご飯(鶏オクラ蕎麦)>>

 

糖尿病の犬の手作り食の実践レシピ2

糖尿病対策の低糖質おじや料理レシピ

低糖質おじや料理レシピ

5kg成犬の1食分
(カロリー:162㎉)

■材料

鮭 280g 玄米 280g 絹ごし豆腐350g なめこ140g ブロッコリー(冷凍)140g まいたけ140g 水500ml

糖尿病のわんちゃんのための低糖質にこだわったおじやのご紹介です。彩りが良くてとろみがあってとにかく食べやすいレシピです。血糖値を緩やかにしてくれる食材をたくさん使っており、彩りやバランスもいいものとなっております。

■作り方

①ブロッコリーは冷凍のものを使用し、解凍したら一口サイズにカットする。冷凍を使う事で簡単で短時間でご飯が作れます。

②まいたけは細かくカットし、豆腐と鮭は一口サイズにカットします。ポイントは豆腐はお鍋に入れると崩れやすいので大きめにカットしましょう。

③鍋に分量の水(500ml)を加え①と②となめこを入れて煮込みます。

④具材に火が通ったら玄米を加え、玄米が水分を吸うまで煮ていきます。

⑤低糖質おじやの完成です

完成

⑥冷凍することで数日分の作り置きが可能となります。

タッパーに詰めて冷凍をしておくことなどもおすすめとなります。
解凍する場合は600Wのレンジで3分20秒温めると解凍できます。
他にも様々な手作り食を紹介していますので、興味がある方はぜひ見てみてください。

「犬の糖尿病対策」薬や治療食に頼らない手作り犬療法食レシピ!

手作り食一覧>>

いくつか手作りご飯をご紹介しましたが、その子の体調にあった食事が大切になってくるため、獣医師さんに相談をしながら与えていきましょう。

糖尿病の犬におやつは与えていいの?

犬におやつ

糖尿病の犬は血糖値の変動を防ぐために市販で売られているようなおやつなどは控えるように言われます。
基本的に食事の回数に関しても1日2回程で十分で、血糖値のコントロールが必要でない時以外は間食も避けた方が良いと言われています。
それでもどうしても、与えるという際は低糖質なおやつや、高繊維なキャベツやブロッコリーを茹でたものなどの野菜を少量などに留めておくようにしましょう。

まとめ

犬の糖尿病に対する基本的な治療は「食事療法」と「適切な運動」となります。しかし、糖尿病は合併症も引き起こしてしまうケースもあるため、獣医師さんと上手く連携して取り組んでいくことが大切になってきます。
また、糖尿病は長く付き合っていくことになる可能性のある疾病の一つでもあります。糖尿病の特徴をしっかりと理解して飼い主さんもわんちゃんも無理のない程度に一緒に向き合っていくことも大切だと思います。

 

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