犬の肉球から出血!?原因・怪我の種類・治療法について解説
2022.10.08犬が肉球を怪我をしてしまった時の対処法や、怪我をしないように予防する方法を正しく知っているでしょうか。正しい知識で冷静に対処を行えば、愛犬の健やかな健康を守ることができます。愛犬のSOSをしっかりと読み取り、愛犬の特性を知ることで、もしもの事態に少しでも備えておきましょう。
本記事では、犬の肉球の機能や、肉球トラブルの主な症状や原因、治療方法などを解説します。
肉球の基礎構成
犬の肉球は、前脚と後脚で構成が違います。
前脚
<前脚>
・掌球(しょうきゅう):中心にある大きな肉球
・手根球(しゅこんきゅう):狼爪の少し下にある1つの肉球
・指球(しきゅう):爪が生えているところの5つの肉球
前脚の肉球は掌球、手根球、指球があります。掌球とは、肉球の中心にある大きな肉球のことです。手根球は、犬の手首あたりにある、地面に接することがない肉球です。狼爪という人間の親指のようなものの少し下にあります。指球とは、爪が生えているところにある肉球のことを言います。
後脚
<後脚>
・足底球(そくていきゅう):中心にある大きな肉球
・趾球(しきゅう):爪が生えているところの4つの肉球
後脚の肉球は、足底球と趾球の2つです。足底球は中心にある大きな肉球で、趾球は爪が生えているところにある肉球を指します。
肉球の色
肉球の色は、遺伝的な要素が強いです。幼いときはピンク色で、大人になるにつれて段々と黒くなっていく犬もいれば、子犬のときからずっと黒いままでいるの犬もいます。また、大人になってもピンク色の肉球の犬もいます。
肉球の色はメラニン色素の影響が大きく、メラニン色素の多い犬の肉球は黒くなるとされます。
肉球の硬さ
犬の肉球は、その犬の年齢、または生活環境により、硬さに違いがあります。生まれたばかりの子犬の肉球は柔らかく、大人になっていくにつれてだんだんと硬くなっていきます。散歩が少なく、室内で飼われている犬は外の地面に触れることが少ないので、肉球の柔らかさに変化がないまま成長します。散歩によく行く犬は、外のでこぼこした地面を歩く機会が多く、それに適応して自分の足を守るために肉球が硬くなります。
肉球の骨
肉球にも、他の身体の部分と同じように骨があります。この骨に沿う形で、腱や靭帯などが形成されていきます。
肉球についても詳しく知っておくことで、要らぬ心配事を減らせる可能性があります。特に、他に犬を飼っている人が身近にいたり、家で2匹以上の犬を飼っていたりすると、「他の犬と比べてこの子は他と違うけれど大丈夫かな」といった心配を抱くこともあるかもしれません。犬にも人と同じように個性がありますので、その範疇であるなら気にしすぎないようにしましょう。
犬の肉球の役割とは?
体温調整
犬の肉球にはとても重要な役割があり、その一つが体温調節です。体温調整は生きていく上で大切な役割があります。
人間は汗をかくことで主な体温調節を行いますが、犬はハァハァと舌を出して呼吸を行うことで熱を外に出し、体温調節をしています。これはパンティングと呼ばれる行為で、犬によく見られるこの行動にはきちんと意味があるのです。しかし、このパンティングだけで体温調節を行えない場合には、肉球から汗を出すことによって調節を行っています。
クッション機能
人間が靴を履くのと同じように、犬の肉球はクッションのような役目を担っています。足先を体重からの負担から守り、衝撃を吸収する役割です。犬が大きく飛び跳ねると、足の関節や骨に衝撃が行きます。そこで、肉球は緩和剤のような役割を担い、その衝撃を和らげるのです。
地面の暑さや冷たさから守る機能
肉球があることにより、地面からの熱を感じにくくなっています。そのため、温度が高い地面を歩いても、多少であれば火傷をしないようになっています。逆に、寒い場所でも歩けるのは、肉球の裏にある静脈が冷えてしまっても、近くの動脈によって血液を再度温めることができるからです。
肉球にはこのようにさまざまな役割があります。さまざまな役割を果たしている肉球ですから、何かあれば犬の健康に響いてしまうのは容易に想像がつくでしょう。
肉球のよくあるトラブルの原因について
肉球のトラブルには、以下のような原因があります。
火傷
肉球は地面からの熱を感じにくく、ある程度温度の高いところを歩いても火傷をしません。しかし、近年の夏のアスファルトや砂浜は相当な熱を持っており、犬の肉球でも火傷をしてしまうリスクが大いにあります。
軽い火傷ならば、氷や保冷剤をタオルに包み、冷やして対処しましょう。直接当ててしまうのは刺激が強いので、やめてください。
また、犬が足を引きずる、肉球の色がいつもと違う、肉球が腫れている、あるいは肉球に水膨れができているなどの症状があれば、火傷が悪化している証拠ですから、できるだけ早く病院を受診することをおすすめします。
指間炎
指間炎は文字通り、肉球に起こるものではなく、指の間に起こるものです。犬が頻繁に指の間や肉球を舐めていたら、このトラブルを起こしている可能性があります。指の間に傷がついていたり、濡れたままの状態で放置していたりすると、犬がその部分を舐め、汚れや菌がついて、炎症を起こしてしまいます。この病気は、犬の足の裏を常に清潔に保ち、濡れたままにしないことで予防できます。
腫瘍
腫瘍は、犬の肉球や指の間にもできます。犬が頻繁に肉球を舐めたり、肉球の化膿、もしくは足を触られることを嫌がる、腫れるなどの様子が見られます。悪化してしまうと、足を切らなければいけないなどの事態になってしまうため、早期発見と迅速な対応が必要です。無症状で発見が困難な場合もあるので、日頃からマッサージなどをして、異変がないかを確かめましょう。
犬ジステンバー
犬ジステンバーとは、犬ジステンバーウイルスに感染することによって起こる病気です。このウイルスに感染してしまうと、肉球や鼻の皮膚が硬化し、発熱やくしゃみ、咳、嘔吐や下痢など、さまざまな症状が見られます。感染して発症してしまうと、根本的に治すという治療法はなく、それぞれの症状を投薬などで緩和する治療を行うことになります。このウイルスは接触感染や飛沫による空気感染をすることもあるため、十分注意が必要です。
これらのトラブルを発見するためのポイントとしては、犬が頻繁に肉球や指を舐めていないかどうかを確認することが分かりやすいのでおすすめです。犬が肉球を舐めるのはいたって自然なことですが、あまりしつこく舐めたり噛んだりしている場合は、何かトラブルが起きていると考えましょう。
肉球が出血している場合の対処法
何かを踏んでしまうなど、ケガをして肉球に出血が見られる場合は、まず患部を流水で洗い、その後に清潔なコットンなどでしっかり患部を押さえましょう。出血が多い場合はコットンでしっかりとその箇所を押さえて、止血します。深い傷でなければ、数分で出血が収まります。また、一目で「何か刺さっている」と分かる場合は刺激を避け、可能な限り早く病院に連れて行ってください。
肉球から出血していると、どうしても犬が舐めたり噛んでしまう場合がありますから、それを防ぐためにも、愛犬の首周りのサイズに合ったエリザベスカラーを家に常備しておくとよいでしょう。
何かを踏んでしまってできる怪我や、熱い地面を歩いたことでできる火傷は、散歩の際に靴下を履かせることが予防策になります。特に肉球の火傷などは、飼い主が気をつけることで防げるトラブルの一つです。
散歩中に何らかのトラブルに気づいた場合は、無理に歩かせたり様子を見るのではなく、抱っこしてすぐに状態を確認してあげてください。
まとめ
犬にとって、肉球は大切な器官の一つです。トラブルを防ぐためにも、犬をよく観察し、怪我や病気のサインを見逃さないこと、肉球のケアをできれば毎日行うこと、そして原因ごとの対処を適切に行い、必要があればすぐに病院に行くこと、これらのことを大切にしましょう。
大切な家族である愛犬ですから、怪我や病気が見つかれば戸惑うこともあるかもしれません。しかし、飼い主が落ち着いて対処すれば、愛犬の病気や怪我を最小限の被害で抑えることができます。焦りは空回りの原因となり、愛犬の怪我を悪化させてしまう場合もありますから、しっかり観察して、適切な対処をしていきましょう。