【犬の便秘】原因と対策は?病院に行くべきタイミングや解消法を解説!

人間の場合、3日以上排便がない状態を便秘と呼びます。ワンちゃんの場合はどうなのでしょうか?
犬の便秘は放っておくと健康に影響が出ることがあります。特に小型犬や老犬によく見られ、チワワみたいに体が小さい犬種では便秘が体調に悪い影響を与えることがあります。
この記事では便秘の原因や対策、病院に行くべきタイミングについて詳しく紹介します。愛犬の健康を守るためにぜひ参考にしてください。
うんちが何日出ないと便秘なの?
犬の便秘は愛犬がうんちを何日も出さない状態を指しています。一般的には1日2回くらいの排便が理想ですが個体差があります。普段は1日1回うんちする犬が3日以上出ない場合や、5日経っても排便が見られない場合は、便秘を疑った方がいいかもしれません。
特にチワワみたいな小型犬は腸が細くて詰まりやすいので注意が必要です。早めに食事や生活習慣を見直して、必要であれば獣医さんに相談しましょう。
便秘の原因とは?
犬の便秘にはさまざまな原因があります。食べ物の内容や体調の変化、水分不足、ストレスや環境の変化、運動不足、病気、便を我慢すること、年齢、自律神経の乱れなどが主な理由といわれています。
これらのことを知っておくことで、普段のケアに役立てることが、愛犬の便秘予防や解消法につながります。それでは、以下でそれぞれの原因について詳しく見ていきましょう。
食べ物の内容や体調によるもの
犬の便秘は、食べるものや体調によって大きく左右されます。たとえば、ダイエットのために繊維質が多いフードを与えていても、水をあまり飲まなければ便が硬くなって、出にくくなることがあります。
特に冬はあまり喉が渇かないので水を飲む量が減りやすいです。それに加え、寒さを理由に散歩の時間も減りやすく運動不足になりがちで便秘のリスクが高まります。
また、シニア犬や肥満のある犬はお腹の筋肉や体力が低下することが多く、排便もスムーズにいかないことがあるため注意が必要です。腸の中に便が長く残っているとさらに硬くなり便秘が悪化してしまいます。
栄養バランスが偏ったフードや消化に悪い食材も便秘の原因になります。愛犬に合ったフードを選んでしっかり水分を取り、適度な運動をすることが便秘予防の大事なポイントです。
水分不足によるもの
犬の便秘の大きな原因の一つは水不足です。特にドライフードを食べている犬は食事から取れる水分が少ないため、水分が足りなくなりがちです。
水分が足りないと便が硬くなりうまく排泄できなくなることがあるので、新鮮でキレイな水をいつでも飲めるように環境を整えることが大切です。水をあまり飲まない犬には、次のような工夫がおすすめです。
・ウェットフードや手作りのごはんを一部取り入れる
・ドライフードにぬるま湯や無塩のスープをかける
・ヤギミルクや犬用スープなど、香りのある水分補助食を使う
また、冬や老犬は水を飲む量が自然に減りやすいのでその時々に応じてこまめに水分補給をサポートすることが、便秘の予防につながります。
ストレスや環境によるもの
犬の便秘の原因として見逃せないのが、ストレスや生活環境の変化です。犬は周りの変化に敏感で引っ越しや飼い主がいない時、飼い主に赤ちゃんが生まれたり、新しいペットが来たりすると少しの変化であったとしても不安を感じることが多いです。
犬種によっては非常に繊細なタイプもいます。繊細な犬はストレスを感じやすく、排便中もリラックスできずに便秘になってしまうことがあります。
トイレの環境もストレスの要因となることがあります。
次のような状況は犬が排便を我慢する原因の例です。
・トイレが人通りの多い落ち着かない場所にある
・トイレが汚れている
・他の犬や猫が出入りする場所にトイレがある
犬はきれい好きな動物なので静かで清潔なトイレスペースを整えてあげると、ストレスが減り便秘を防ぐ助けになります。
運動不足によるもの
犬の便秘の原因として意外と多いのが、運動不足です。体を動かさないと腸の動きが鈍くなり、便が腸に長くとどまることで水分が吸収され硬くなります。それで出すのが大変になってしまいます。
特に、家の中で過ごすことが多い犬や雨の日が続いたり、飼い主の都合で散歩が少ない犬は注意が必要です。運動不足でエネルギーが余ってしまい、ストレスも便秘も同時に起こることがあります。
愛犬の体力や年齢に合わせて散歩やボール遊び、知育トイを取り入れることで腸の動きを助けることができます。朝の散歩は特に排便の習慣をつけるのにぴったりです。
病気によるもの
犬の便秘には、病気が関係していることもあります。例えば、以下のような状態が便秘を引き起こすことがあります。
・腸の動きが悪くなる
・腸の閉塞や腫瘍ができる
・直腸に異物やできものがある
・神経の問題や炎症で機能が落ちる
また、肛門付近の異常も見逃せません。炎症やできものがあると、犬は痛みや不快感を感じて、排便を我慢することがあります。
特に去勢していない中高齢のオス犬には、「会陰ヘルニア」という病気に注意が必要です。これは、肛門周りの筋肉が弱くなり、内臓が突き出てくることから、腫れや違和感で排便が難しくなります。
もし元気がなかったり、食欲がない、排便の時に痛がるなどの普段と違う症状が見られたり食事や環境を見直しても改善しない場合は病気が原因の可能性があります。その場合は、早めに動物病院に行って必要な検査や治療を受けることが大切です。
排便を我慢したことによるもの
犬が排便を我慢すると便秘になることがあります。便が腸内に長くとどまると、水分が吸収されすぎて硬くなり、排泄が難しくなります。
犬が排便を我慢する理由としては、次のようなことが考えられます。
・トイレの場所が落ち着かない(人が多かったり、音が気になる)
・トイレが汚れていて不快
・飼い主がいないことや他の犬との接触がストレス
・散歩する時間がバラバラで、排便のリズムが崩れている
特にきれい好きな犬はちょっとした環境の変化で排便を我慢することがあり、飼い主が長時間外出すると我慢する習慣がついて便秘になることもあります。
愛犬が安心して排泄できる場所を作ることが大切です。以下のような工夫をしてみましょう。
・静かで落ち着いた場所にトイレを置く
・常に清潔に保つ
・散歩の時間を一定にするなど、規則正しいタイミングを作る
・留守中でも排便できる環境を整える(室内トイレを使うなど)
愛犬がリラックスできる環境を整えることが、便秘の予防や改善には必要です。
加齢による筋力不足によるもの
犬も年を取るにつれて、体力や筋力が少しずつ落ちていきます。特にシニアの犬は、排便に使うお腹の筋肉やいきむ力が弱くなって便を出しにくくなることがあります。
また、腸の動きも鈍くなりがちです。そうなると、便が腸の中に長くとどまって水分が過剰に吸収されて便が硬くなり便秘を引き起こす原因となります。
このような加齢による便秘には、次のような優しいサポートが役立ちます。
・消化しやすいフードや、水分の多いウェットフードを取り入れる
・お腹を優しくマッサージして、腸の動きを促す
・シニア犬の体力に合わせた軽い運動や散歩を日課にする
・排便の様子を観察し、少しでもおかしいと思ったら早めに対処する
老犬は体調の変化にあまり気づけなくなることもあるので、飼い主の気配りや早めの対応がとても大切です。年齢に合った生活習慣を整えることで、便秘を予防できます。
自律神経の乱れによるもの
犬も人間と同じように、ストレスや環境の変化、生活リズムの乱れで自律神経が乱れることがあります。自律神経は腸の動きを調整しているので、バランスが崩れると便秘を引き起こすことがあります 。特に引っ越しや家族構成の変化、騒音などが犬にとってストレスになると自律神経の乱れを招くことがあります 。
対策としては以下の点に気をつけましょう!
1. 規則正しい生活リズムを保つ
食事や散歩の時間を一定にすると、自律神経が安定しやすくなります。
2. 安心できる環境を整える
静かで落ち着けるスペースを作り、犬がリラックスできるようにしましょう。
3. 適度な運動
軽い散歩や遊びをすることでストレスを減らし、腸の動きを助けます。
4. スキンシップ
優しく撫でたりマッサージすることで、犬がリラックスし自律神経のバランスを整えるのに役立ちます。
これらを試しても便秘が治らない場合や犬の元気がない、食欲がない、吐くなどの症状があるときは早めに獣医師に相談することが重要です。
犬の便秘解消に役立つ食材
犬の便秘を解消するためには、特定の食材を普段の食事に取り入れることが効果的です。特に食物繊維がたくさん含まれている野菜や果物は腸の動きを活発にし、排便を助けてくれます。また、腸内環境を整えるための「プレバイオティクス」や「プロバイオティクス」もおすすめです。
【食物繊維が豊富な食材】
・かぼちゃ・さつまいも
腸の動きをよくして、スムーズな排便をサポートします。加熱して柔らかくしてあげると、消化にも優しいです。
・リンゴ(皮はむいて与える)
リンゴに含まれるペクチンという成分は、腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整える効果が期待できます。小さく切って加熱してから与えると安心です。
・プレバイオティクスとプロバイオティクス
(プレバイオティクス)
オリゴ糖や水溶性食物繊維など、腸内の善玉菌のエサになる成分です。これを取ることで、善玉菌が活性化して腸内環境が活性化し、腸内環境が改善されやすくなります。
(プロバイオティクス)
乳酸菌やビフィズス菌といった、直接腸に働きかける善玉菌が含まれている食品です。整腸作用があって、便秘の予防や改善に役立つと言われています。
【食事を与えるときのポイント】
・加熱して与える
野菜や果物は加熱するのが基本です。そうすることで消化しやすくなります。電子レンジや蒸し調理で柔らかくするとなおよいですよ。
・適量を守る
いくら体に良くても、与えすぎはよくありません。反対に消化不良や下痢を引き起こす可能性もあるため、愛犬の体重に合わせた量を心がけましょう。
・獣医師に相談する
持病がある犬や、食物アレルギーが気になる場合は、事前に獣医師に相談するのが安心です。愛犬の体質に合った食材や量を確認しましょう。
これらの食材や栄養素を日常の食事に取り入れることで、愛犬の便秘が自然に改善されたり、腸内環境のサポートができます。毎日の食事が、体の内側からのケアにつながりますね。
犬の便秘解消に有効なのは?
人間と同じで犬の便秘対策にも「食事内容」「水分」「適度な運動」が有効です。
軽度の便秘なら、お腹からお尻に向かって優しくマッサージしてあげることで、腸の蠕動(ぜんどう)運動を促進できます。
環境の変化に戸惑っている場合は、マッサージをする機会が飼い主とのコミュニケーションにも繋がり、リラックス効果も期待できます。
食事内容を工夫
食事には、適度に繊維質を含んだフードを与えましょう。ダイエット用のフードは繊維質を多く含むので、いつもの食事に少し混ぜてあげるだけで高い効果を発揮します。
バナナやさつまいもには、オリゴ糖や食物繊維が多く含まれているので便秘対策に適しているものの、与え過ぎるとカロリー過多になってしまいます。
そのため、バナナやさつまいもを与える場合は肥満にならないよう、わんちゃんに合わせて調整するようにしましょう。
水分をしっかりとる
水分が不足している犬に水を飲ませるのは難しい課題です。
そこで、ただの水ではなく、鶏ささみの茹で汁などをスープとして与えたり、手作り食を試してみるというのも良い方法でしょう。
手作り食には、水分がたくさん含まれているので、食事から水分を摂取することができます。
適度な運動をする
適度な運動は、犬の健康を維持するためには欠かせません。
散歩では外の空気を吸うことによって、運動不足を解消し便秘を改善できるだけでなく、ストレス発散にもなります。
散歩する時間をあまり取れなかった時は、週末にドッグランへ連れて行ってあげるのも良いでしょう。
お腹のマッサージをする
愛犬の便秘を解消するには、「お腹のマッサージ」がとても効果的です。優しくマッサージすることで、腸の動きを促進し、排便を助けると同時にリラックス効果も期待できます。
特に、あまり運動しない犬や高齢の犬には、体に負担をかけずにできるケアとしておすすめです。
犬の便秘解消におすすめのマッサージ方法
では、具体的なマッサージの方法や注意点をお伝えします。
【マッサージのポイントとやり方】
・愛犬がリラックスしている時にやりましょう。食後すぐや遊んだ後は避けてください。
・手のひらでお腹を優しく撫でる感じでマッサージします。下腹部を時計回りにゆっくりさするのが効果的です。
・あまり力を入れずに、軽く触れるくらいで大丈夫です。犬が気持ちよさそうだったら数分続けて、嫌がったらすぐにやめましょう。
【マッサージをする時の注意点】
・食後は胃腸に負担をかけないために30分以上あけてからやりましょう。便秘以外に体調が悪そうな時や、お腹を触ると痛がる時は、すぐに獣医師に相談してください。
・無理に押さえたり力を入れすぎたりしないように気をつけてください。
定期的にやることで、愛犬とのスキンシップの時間にもなり信頼関係を深める良いきっかけにもなります。便秘対策だけでなく健康チェックの一環としても、お腹のマッサージを取り入れてみてくださいね。
高繊維のドッグフードをあげる
犬の便秘対策として、高繊維のドッグフードが役立ちます。食物繊維は腸の動きを活性化し、便を柔らかく保ちながらスムーズな排便を助けてくれます。特に、便が硬くなりやすい犬やあまり運動しない犬には、繊維がしっかり入ったフードを選ぶことで腸内環境の改善が期待できます。
【高繊維フードを選ぶ際のポイント】
・可溶性食物繊維と不溶性食物繊維がバランスよく含まれているかを確認することです。
どちらも腸に良い影響を与えます。
・穀物アレルギーのある犬にはグレインフリーのフードがおすすめ。
・プレバイオティクスやプロバイオティクスが入っている製品もおすすめ。
市販のフードには「便通サポート」や「腸内フローラケア」といった表示があるものがありますが、愛犬の体質や年齢に合ったものを選ぶことが大事です。気になることがあれば、獣医師に相談して選ぶと安心です。
犬の便秘解消をサポートするおすすめのサプリ
愛犬の健康を維持するためには、腸内環境を整えるサプリメントの活用もおすすめです。
特に乳酸菌やオリゴ糖、食物繊維など腸にやさしい成分が配合されたサプリは便通の改善に役立ち、愛犬の元気な毎日をサポートしてくれます。
「フードだけでは少し不安…」という方にも手軽に与えることができておすすめです。
獣医師と相談しながら、愛犬の体質に合ったものを選ぶとより安心です。
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便秘になる病気とは?
犬の便秘は生活習慣が乱れてるだけでなく、実は病気が関係してることもあります。たとえば、腸の働きが悪くなったり腸の通過を妨げる物理的な障害、神経系の問題などが考えられます。
こういう病気が便秘の原因の場合、自宅で対処するのは難しいこともあります。もし次のような症状があったら、早めに獣医師に相談しましょう。
消化管の蠕動運動が不十分なもの
腸の動き(ぜん動運動)がうまくいかないと、便がうまく進まずお腹の中に溜まってしまい排便が難しくなります。このような状態は腸の筋肉が衰えていたり全身の代謝機能が落ちていたりする高齢犬に多く見られます。
【対策例】
– 消化に良いフードに変える
– 定期的に運動させる
– 水分をしっかり取る
閉塞による消化管の通過障害のもの
便の通り道である腸に異物や腫瘍、腸のねじれが原因でふさがれてしまい便が通れなくなることがあります。この場合、便が溜まるだけでなく腹痛や食欲不振、嘔吐などの症状を伴うことが多いためすぐに診察が必要です。
【主な原因】
– 異物を誤飲(おもちゃや布など)
– 腸腫瘍
– ヘルニアや腸捻転
直腸内の異物や腫瘍
腸の出口近くの直腸に便が到達しても腫瘍や異物があるとスムーズに排出できずに慢性的な便秘になることがあります。特に高齢犬はお尻の周りのできもの(直腸腫瘍)が見つかるケースもあるので、「排便時にいきむけど出ない」「お尻周りに異常がある」などのサインに注意が必要です。
神経障害や炎症
腸は自分の意思とは関係なく動いていてその動きは「自律神経」という体の調整役がコントロールしています。この神経のバランスがくずれたり、腸に炎症があったりすると、腸の動きが鈍くなってしまい便がうまく出せなくなることがあります。
特にストレスが続いていたり腸の中に炎症が起きていたりすると、便秘の原因になることがあるので注意が必要です。
【注意すべき症状】
– 排便の頻度が不安定
– 排便後にまだ便が残っている感じ
– 食欲がない、元気がない
下痢からの便秘
ちょっと意外かもしれませんが下痢が治まったあとに便秘になる犬もよくいます。
これはお腹の調子が一時的に不安定になることで腸の動きが止まりがちになったり、水分がうんちに吸収されすぎて硬くなったりするためです。
【対策方法】
・水分補給をしっかり行う
・胃腸にやさしいごはん(ふやかしたフードや消化のいい食材)に一時的に切り替える
・腸内環境を整えるサプリや整腸剤を取り入れてみる(※獣医師のアドバイスをもとに)
下痢が続いたあとにうんちが出なくなると心配になりますが、焦らず落ち着いてケアしてあげることが大切です。ただし、便秘が長引くときや元気がない場合は早めに獣医師に相談しましょう。
もしかしたら病気かも?どんな時に病院に行けばいい?
犬の場合も重度の便秘は病院に行くべきです。その見分け方として、うんちを出したそうにしているのに鳴くなどして痛がって排便をやめてしまう、何度も排便を試みても出ない、トイレから出るまで異常に時間がかかる、肛門や便に出血があるという時は、迷わず動物病院に連れて行ってあげて下さい。便が溜まるとさらに硬くなって排便しにくくなります。
病院では応急処置として浣腸を行い、硬くなった便を取り除いてもらえます。症状によっては、脱水状態になっていることもあり、点滴などの処置が必要になることも。排便状況だけで判断せず、食欲不振やぐったりしてずっと横になっているなど、いつもと違う症状が見られたら受診することをおすすめします。