肝臓

早期発見がカギ!愛犬の主な肝臓病5つと予防法を解説

沈黙の臓器ともいわれる肝臓。肝臓の病気は初期症状がない為、飼い主が気付いた時には取り返しのつかない状態になっていることが多く、早期発見が重要になります。

今回はそんな犬の肝臓の働き、肝臓病の原因、代表的な肝臓病と予防法などについて解説していきます。

肝臓の働きについて

肝臓は食事の栄養素を分解・吸収する上で重要な機能を持っており、生きていく上では欠かせない働きを持つ臓器です。

肝臓の役割

代謝

 胃や腸で分解、吸収された栄養素を利用しやすい物質にして貯蔵する

解毒作用   

 代謝の際に生じた体に有害な物質を、毒性の低い物質に変え、尿や胆汁中に排泄する

胆汁の精製分泌 

主に脂肪の乳化とタンパク質を分解しやすくするはたらき

また、再生能力が高い臓器でもあり、多少の不調であれば体への異変は全く気が付かないことも少なくありません。

しかし、再生能力の高さがあだとなり、肝臓が悪くなり症状が現れるころには、相当進行している事が多いです。こうした理由から人間同様に、肝臓とは「沈黙の臓器」であると言われています。

前兆が現れにくいという点はとても厄介であり、たとえば夏であればちょっとした食欲不振は夏バテ、冬なら風邪でも引いているのかなと思ってしまい初期症状を見逃してしまいがちです。犬は言葉で訴える事が出来ないので、日常のケアや、コミュニケーションが肝臓病の発見にとても大切になってくると言えるでしょう。

肝臓病とは

犬 肝臓病

犬の肝臓病は、様々な要因によって肝機能が下がり、何らかの障害が現れる病気です。尿の色が濃くなる、餌を欲しがらない、嘔吐、下痢といったように、肝臓病特有の症状というのはありません。いわゆる、いつもより元気がないなということがきっかけで発見される事が多い病気です。

人間にとってもそうですが、犬の場合は特に肝臓に痛覚がない事もあり、強い症状がなかなか現れません。そのため気が付く段階になると肝臓病がかなり進行している事が多いです。

早期発見には定期的な健康診断がとても重要になります。

肝臓病の原因

犬 肝臓病

肝臓病、肝疾患を発症する原因は多岐にわたります。

そのため、原因を特定すること自体は非常に難しいのが現実です。

特定の犬種では遺伝的なものが良く見られますし、細菌やウイルスが原因となるものもあります。また、栄養バランスの悪い食事、運動不足など長年の不摂生によって引き起こす場合もあります。

細菌やウイルスなど原因がはっきりするものもあれば、原因が良くわからない慢性肝炎や、特定の犬種で現れる銅が体内に蓄積してしまう道蓄積性肝臓病、その他がんによって引き起こされるもの、薬物中によって引き起こされるものもあるのです。

主な肝臓病5つ

肝臓病と一言で言っても、原因や症状、治療法はさまざまです。

今回はその中でも主な病気5つを紹介します。

犬伝染性肝炎

犬 肝臓病

犬アデノウイルス位Ⅰ型に感染しているほかの犬の尿・唾液などの分泌物が口の中に入ることによって感染します。

主な症状は嘔吐、発熱、下痢、腹痛などです。

ウイルスが急速に感染すると急性肝炎を発症し、血液や水による腹部の膨張、出血血便が見られます。感染しても発症しないこともあれば、軽度から重度と症状の程度はさまざまで、突然死や、子犬の場合死亡率が高いなど、リスクの高い病気です。

急性肝炎

犬 肝臓病

急性肝炎は前述した犬伝染性肝炎などにより、肝臓に急速な炎症が起こった状態のことです。主な症状は初期であれば一時的な食欲低下、嘔吐、下痢、黄疸など、重症化すると痙攣や昏睡、よだれなどが見られます。

治療が完了したとしても慢性肝炎に移行する可能性もあるので注意が必要です。

慢性肝炎

犬 肝臓病

慢性肝炎とは軽度の症状が比較的長期間にわたって続く肝臓の炎症のことを指します。

症状は急性肝炎と同じですが軽度なので日常生活での発見は難しく、気づいた時には手遅れとなることもあるので定期的に血液検査などを含めた検診を行いましょう。

・ドーベルマン
・べトリントン・テリア
・コッカー・スパニエル
・ラブラドール・レトリーバー

などは特に発症しやすいので特に気をつけましょう。

肝硬変

犬 肝臓病

肝硬変とは肝臓が強いダメージを長期間受けることにより肝臓が本来持つ機能を失ってしまう状態をいいます。原因となる病気として慢性肝炎、脂肪肝などがあげられます。初期症状は食欲不振、疲れやすい、体重減少などで、特有の症状はありません。

元の状態には戻らない不可逆的変化なので、症状が現状より良くなることはありません。
ほかの病気と同様、定期的な検診を欠かさないように心がけましょう。

門脈体循環シャント

犬 肝臓病

門脈体循環シャントとは、本来肝臓に入ってくるはずの胃腸からの血液が解毒されずに全身を巡り、肝臓が栄養失調に陥り小さく委縮した状態をいいます。

主な症状として食欲不振、尿結石、血尿、尿の一回の量が少ないなどがあげられ、重症化すると肝臓の機能障害、膀胱炎や血尿、頻尿、尿道閉塞などの泌尿器症状もみられ死にいたる可能性があります。

多くが先天性の原因によるもので、

・ヨークシャー・テリア
・ミニチュア・シュナウザー
・シー・ズー

どは定期的な検診を心がけましょう。

肝臓病の予防法

犬 肝臓病 予防

様々な事が原因となり発生する肝臓病ですが、原因となる要素が肝臓以外の部分にある事も多いです。

肝臓自体は再生能力が高い臓器でもあるので、肝疾患の原因が他の部分にあると考えられる場合は、まずその部分からの治療を行い、肝臓に対する負担を軽減すれば肝機能の回復が期待できます。

また、肝臓病の治療には食事管理がとても重要になります。

理由としては、肝臓が栄養素を吸収し利用する為の臓器であるからです。肝臓に疾患があると吸収した栄養素を有効に使うことが出来なくなり、体重の減少に繋がります。

これを防ぐために、幹細胞を再生することをサポートするたんぱく質の摂取が必要になります。しかし、肝疾患が重症化するとたんぱく質を利用する際に発生するアンモニアの毒素を解毒する事が難しくなります。

つまり、肝臓病になってしまうと、サポートに必要なたんぱく質の摂取とアンモニアの解毒の二つを両立させる必要が出てくるわけです。

肝臓病の治療のためにたんぱく質を摂取するためには、消化性の高いものを使用し、なおかつ適切な量を調整して与える必要があります。健康を取り戻すために必要な事なので、愛犬の健康のために適切な食事管理をしてあげるようにしましょう。

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