犬の尿路結石の原因とは?自然治癒するの?治療法・予防についてや療法食などをご紹介します!

「最近、うちの犬のおしっこがいつもと違う気がする…」
そんな変化が見られたら、尿路結石のサインかもしれません。
尿路結石は、尿の成分が固まってできるもので、痛みや血が混ざったおしっこ、排尿が難しいといった症状を引き起こします。
放っておくと腎臓や膀胱に悪影響を及ぼし、最悪の場合は命に関わることもあります。
中には自然治癒するケースもありますが、多くの場合は早めの診断・治療、そして食事管理が不可欠です。
この記事では、犬の尿路結石の原因や症状、治療法・予防策をわかりやすく解説します。
療法食の選び方や水分補給の工夫もご紹介していますので、今日からすぐに実践できるケアにぜひ役立ててください。
犬の尿路結石の概要
犬の尿路結石は、腎臓から尿道までの尿の通り道に、石のようなかたまり(結石)ができる病気です。
排尿トラブルや痛み、血尿などの症状が見られ、放置すると腎臓や膀胱に深刻なダメージを与えることもあります。
結石の主なタイプには、「ストルバイト結石」と「シュウ酸カルシウム結石」があります。
どちらも、おしっこに含まれる成分が固まることでできるものです。
症状はさまざまで、頻繁にトイレに行く・おしっこが少量しか出ない・血が混ざるなどが典型的なサインです。
特に結石が尿道に詰まるとおしっこが出なくなり、命に関わる危険もあります。
尿路結石は、再発しやすい病気でもあるため、治療とあわせて日々の予防ケアがとても重要です。
水分摂取やフードの見直し、定期的な尿検査など、飼い主ができる対策もたくさんあります。
また犬と同様に、猫にも尿路結石は多く見られる病気です。
どちらも早期発見と日常のケアが健康維持のカギになります。
ストルバイト結石とは
犬の尿路結石の中でも特によく見られるタイプが、ストルバイト結石です。
尿がアルカリ性に傾いているときにできやすく、膀胱炎などの細菌感染が関係していることが多いのが特徴です。
この結石は、おしっこの中にあるマグネシウムやリンなどの成分が固まってできるものです。
特に、尿路感染によって尿の状態が変わると、ストルバイト結石ができやすくなります。
主な症状は、
- ・おしっこに血が混じる(血尿)
- ・何度もトイレに行くけど少ししか出ない
- ・排尿時に痛がったり、鳴いたりする
などがあり、いつもと違う排尿の様子に飼い主が気づくことで発見されることが多いです。
ストルバイト結石は、早期であれば療法食で溶かすことができる数少ない結石です。
そのため、気になる症状があればできるだけ早く動物病院で診てもらい、適切なフードでのケアを始めることが大切です。
また、一度治っても再発しやすい傾向があるため、治療後もフードの管理や水分補給をしっかり続けることが予防のポイントになります。
定期的な尿検査でチェックする習慣をつけておくと安心です。
尿路結石の主な原因
犬の尿路結石には、さまざまな原因が関係しています。
体質や年齢だけでなく、食事の内容や水分の摂り方、尿路の感染症なども大きく影響しています。
特に多い原因には、次のようなものがあります
- ・水分不足で尿が濃くなる
- ・ミネラルバランスが偏ったフード
- ・膀胱炎などの尿路感染症
- ・もともとの体質や遺伝的な要因
たとえば、水をあまり飲まない犬や、ドライフードばかりを食べている犬は、尿が濃くなって結石ができやすい傾向があります。
また、マグネシウムやリン、カルシウムなどのミネラルが多く含まれるフードを長期間食べ続けることも、結石の原因になることがあります。
さらに膀胱炎などの細菌感染があると、尿の性質が変わって結石ができやすくなることも。
これは特にストルバイト結石と関係が深い要因のひとつです。
犬種によってもリスクは異なり、ダルメシアンなどの一部の犬種では、体質的に特定の結石ができやすい場合もあります。
このように、原因は1つだけでなく、いくつかが重なって発症することも多いため、日頃からのケアや予防がとても大切です。
水分不足の影響
水をあまり飲まないと、尿が少なくなり、濃くなることで結石ができやすくなります。
水分不足は、犬の尿路結石の主な原因のひとつです。
特にドライフードを中心に食べている犬は、水分が不足しやすく、注意が必要です。
ドライフードにはほとんど水分が含まれていないため、食事だけでは水分が足りなくなってしまうことがあります。
また、暑い季節や運動量の多い日は、体の中の水分が失われやすく、さらにリスクが高まります。
このようなときに十分な水を飲めていないと、尿の中にミネラルがたまりやすくなり、結石ができやすい状態になります。
水分をしっかりとることで、尿が薄まり、ミネラルが溜まりにくくなり、排尿回数が増えて、結石のもとが外に出やすくなります。
ウェットフードを取り入れる、家のいろんな場所に水を置く、水を飲みたくなるような工夫をするなど、日常のちょっとした心がけが結石予防につながります。
不適切なフードやおやつの影響
毎日の食事やおやつの内容は、尿路結石のリスクに大きく影響します。特に、ミネラルのバランスが悪い食事や、塩分、リン、カルシウムが多すぎるものには気をつけましょう。
たとえば、加工されたジャーキーやスナック、チーズ、かつおぶしといった人間用の食品を与えることは、知らず知らずのうちにマグネシウムやリンを取りすぎてしまう原因になります。
また、ビタミンDを過剰に摂ると、尿中のカルシウムが増えて結石ができやすくなることもあります。
犬種によっても注意が必要で、ミニチュア・シュナウザーやダックスフンドは尿路結石になりやすいと言われています。こうした犬種には、ミネラル量を調整したフードや療法食を取り入れる「食事療法」での管理がおすすめです。
さらに、肥満も結石のリスクを高める要因の一つです。運動不足や食べ過ぎで体重が増えると、代謝が落ちて尿の質が変わりやすくなります。
栄養バランスの良いフードを選び、必要に応じて療法食を使うことが、結石の予防や愛犬の健康を守るためにとても大切です。
犬の尿路結石の症状
犬の尿路結石は、排尿の異常や体調の変化を通じて気づくことが多い病気です。
おしっこに血が混じる・尿が出にくい・何度もトイレに行くなど、日常の様子に小さなサインが現れます。
放っておくと状態が悪化し、強い痛みや尿がまったく出ない危険なケースに発展することもあります。
そのため早期に気づき、適切に対処することがとても大切です。
愛犬の異変にいち早く気づけるよう、具体的なチェックポイントをご紹介します。
症状のチェックポイント
犬の尿路結石は、日常のちょっとした異変から気づくことができます。
下記の項目にいくつか当てはまるようであれば、早めに動物病院での相談をおすすめします。
◎排尿の様子に変化はありませんか?
✓ | よく見られるサイン |
---|---|
トイレの回数が増えた(頻尿) | |
おしっこが少ししか出ない、または出ない | |
排尿時に痛がる・鳴く・落ち着かない様子がある | |
血尿が出たことがある | |
尿が濁っていたり、いつもよりにおいが強い |
◎体調や行動にこんなサインはありませんか?
✓ | よく見られるサイン |
---|---|
食欲がなく、元気がない | |
お腹を触ると嫌がる、痛がる | |
あまり動かず、じっとしている時間が長い | |
陰部をしきりに舐めている |
※※特に注意したいサイン※※
おしっこがまったく出ない(尿閉)状態は命に関わる緊急事態です。
一刻も早く動物病院を受診してください。
「なんかいつもと違うかも…」と思ったら、その気づきがとても大切です。
小さな異変も見逃さず、早めに行動することが愛犬の命を守るポイントになります。
検査や診断について
尿路結石が疑われるときは、動物病院でいくつかの検査をして原因を調べます。
おしっこの状態や結石の有無・種類などをチェックすることで、その子に合った治療法を決めることができます。
◇ 主な検査内容
尿検査 | 尿のpHや、結晶(ストルバイト・シュウ酸カルシウムなど)の有無、血尿・たんぱく・細菌の有無をチェックします。 |
レントゲン検査 | 膀胱や尿道にある結石の位置や大きさを確認します。特にカルシウム系の結石は写りやすいのが特徴です。 |
超音波検査(エコー) | 小さな結石や膀胱の炎症、腫れなどを確認できます。レントゲンで見えにくいストルバイト結石も見つかることがあります。 |
血液検査(必要に応じて) | 腎臓の機能や、炎症の有無を確認するために行う場合があります。 |
検査結果によって、食事療法で様子を見ることもあれば、手術が必要なこともあります。
どちらにしても、早めに検査を受けることで、愛犬の負担を減らすことができますよ。
注意すべき犬種、性別、年齢
尿路結石は、体質や年齢、性別によってリスクが高まる場合もあります。
以下のような特徴に当てはまる場合は、とくに日ごろのケアを意識することが大切です。
◇ 尿路結石になりやすい犬種
以下の犬種は、体質的に尿路結石ができやすい傾向があります。
- ・ミニチュア・シュナウザー
- ・ダックスフンド
- ・シーズー
- ・ヨークシャー・テリア
- ・パグ
- ・チワワ
これらの犬種は、ミネラルをため込みやすい傾向があり結石ができやすいので、定期的な尿検査や食事の管理が特に重要です。
◇ 性別によるリスクの違い
性別 | オス犬 | メス犬 |
---|---|---|
特徴 | 尿道が細くて長い | 尿道が太くて短い |
注意点 | 結石が詰まりやすく、尿が出にくくなるリスクが高い。重症化しやすいため注意が必要。 | 結石が自然に排出されやすい傾向があるが、油断は禁物。定期的なチェックが重要。 |
特に、オス犬は「尿が出ない」状態に注意が必要です。
◇年齢によるリスク
年齢層 | リスクの傾向 | 補足ポイント |
---|---|---|
中齢〜高齢 (4歳〜7歳以上) |
結石ができやすくなる | 代謝の変化や運動量の低下により、尿の成分が偏りやすくなる |
若齢 (〜3歳程度) |
可能性はあるが少なめ | 体質や食事内容によっては若くても発症することがあるため注意が必要 |
年齢に関係なく、日常のケアが結石予防のカギです。
特に中高齢の犬は、定期的な尿検査や食事の見直しをおすすめします。
「うちの子はなりやすいタイプかも?」と思ったら、食事と水分補給の見直しから始めましょう。
早めの対策が、再発や重症化を防ぐポイントになります。
犬の尿路結石の治療法
どんなに予防に努めていても、尿路結石ができてしまうことはあります。そんなときにどんな治療法があるのかを知っておくことも飼い主にとって大切です。
症状の程度や結石の種類によって、治療法はさまざまで、軽いものから手術が必要な場合まで幅広く考えられます。
ここからは、代表的な治療法を順にご紹介していきます。
療法食による治療
犬の尿路結石、特にストルバイト結石には、療法食による治療が効果的です。これは尿のpHやミネラルのバランスを調整して、結石を溶かしたり再発を防ぐために作られた特別なフードです。マグネシウムやリン、カルシウムの量が適切に管理されていて、尿を弱酸性に保つことで結石ができにくい状態を維持します。
この食事療法は、薬を使わない体に優しい方法ですが、すべての結石に対応できるわけではありません。たとえば、シュウ酸カルシウム結石には効果がないので、まずは獣医師に診てもらって何の結石かを確認することが大切です。
さらに、効果を得るためには、獣医師のアドバイスに従い適切な量や期間を守ることが不可欠です。結石が消えたあとも再発を防ぐ目的で、しばらく療法食を続けるケースも少なくありません。
薬剤による治療
尿路結石の治療では、症状や結石の状況に応じて薬を使うことがあります。たとえば、膀胱炎などの細菌感染があれば抗生物質が処方されて、炎症を抑えたり感染が広がるのを防いだりします。特にストルバイト結石は細菌感染と関わりが深く、食事療法と抗生物質を併用することが多いです。
また、利尿剤を使っておしっこの量を増やし、体の中の老廃物や結石を出しやすくすることもあります。ただし、薬だけでは結石が完全に治るわけではなく、あくまでサポートに過ぎません。
投薬の期間や種類は症状によって変わるので、獣医師の指示に従うことが重要です。自己判断で薬をやめたり変更したりすると、かえって症状が悪化することもあるので気をつけてくださいね。
外科手術による治療
結石が大きすぎたり、数が多かったりする場合は、手術で取り出すことがあります。
とくに、おしっこの通り道がふさがってしまっていると、命にかかわることもあるため、早めの対応が必要です。
手術では、お腹を開いて、膀胱(ぼうこう)にたまった結石を直接取り出す方法(膀胱切開手術)がよく行われます。
治療には全身麻酔が必要ですが、結石を確実に取り除けるという大きなメリットがあります。
ただし、手術は体に負担がかかったり、感染のリスクもあるので、獣医師とよく相談して決めましょう。術後はしばらく安静にして、再発を防ぐためのフード管理や水分ケアなども必要になります。
カテーテルを使った治療
おしっこがうまく出せなくなったときに、応急処置として行われるのが「カテーテル治療」です。
細いチューブ(カテーテル)をおしっこの通り道に入れて、たまった尿を体の外に出す方法です。
結石がおしっこの通り道につまってしまっているときは、カテーテルで石を膀胱のほうに戻す処置を行うこともあります。
こうすることで、おしっこが出やすくなり、腎臓や体への負担を減らすことができます。
しかし、これはあくまで一時的な対策なので、根本的な治療ではありません。そのため、カテーテル治療のあとは、結石の除去や予防のための治療を続ける必要があります。
腎結石の治療法
腎臓にできる結石は、すぐに症状が出ないことも多く、気づかないうちに進行しているケースもあります。しかし、石が大きくなったり動いたりすると、激しい痛みや血尿、熱が出ることがありますので注意が必要です。
腎結石が見つかった場合、無症状や小さな石であればまずは定期的に様子を見る「経過観察」から始めることもあります。ただし、大きな石がある、症状が出た、腎臓の働きに影響が出ている場合は、次のような治療が考えられます。
- ・薬や療法食でのサポート
- ・おしっこと一緒に石を流す治療
- ・必要に応じて手術や内視鏡での処置
腎結石の治療法は犬の体への負担をよく考えて決める必要があるため、獣医師とよく相談して方針を決めることが大切です。
早めに見つけて早期に対処することで、大きなトラブルを避けられる可能性が高くなります。
治療後の注意点は?
治療が終わったあとも、油断は禁物。尿路結石は再発しやすい病気のひとつです。
とくに、ストルバイト結石やシュウ酸カルシウム結石は生活習慣や食事の影響を受けやすく、何度もくり返すケースもあります。
再発を防ぐためには、以下のような日常のケアがとても大切です
- ・常に新鮮な水を用意し、水分をしっかりとらせる
- ・療法食や予防に適したフードを継続して与える
- ・おやつや人の食べ物は控える
- ・定期的に尿検査を受ける
また、おしっこの様子に変化があったら、早めに獣医師に相談することも再発防止につながります。
毎日のちょっとした気づきが、愛犬の健康を守ることにつながります。
犬の尿路結石の予防策
尿路結石は、一度治っても再発しやすい病気です。
しかし、日常生活の中でちょっとした工夫で、再発のリスクをぐっと下げることができます。
たとえば、水分補給の工夫や排尿しやすい環境づくり、フードの見直しや適度な運動の継続など。
どれも難しいことではなく、今日から実践できるものばかりです。
ここからは、日常の中で無理なく続けられる対策をお伝えしていきます。
排尿しやすい環境を整える
まずは、愛犬がスムーズに排尿できる環境を整えることがとても大切です。
おしっこを我慢する時間が長くなると、尿が濃くなり結石ができやすくなってしまいます。
そのためにできる工夫として、以下のようなポイントがあります。
- ・散歩をこまめにして、トイレに行く回数を増やす
- ・室内でいつでも排尿できる場所を作る
- ・トイレをきれいに保って、リラックスして排尿できる環境にする
また、ストレスや環境の変化が排尿を控える原因になることもあるため、
なるべく安心できる空間づくりを心がけてあげることも予防につながります。
予防フードの選び方
日々の食事内容が、結石のリスクを左右する大きなポイントになります。
ミネラルバランスが偏ったフードを与え続けていると、尿の性質が変わり、結石ができやすくなることがあります。
市販のフードの中には、尿のpHを整えたり、結石ができるのを防ぐ工夫がされているものもあります。「尿ケア」や「尿路の健康維持」という表示があるフードは、そういった目的のために作られています。
また、動物病院で取り扱っている療法食は、特定の結石(ストルバイトやシュウ酸カルシウムなど)に合わせて成分が調整されているため、獣医師に相談しながら選ぶのが安心です。
どんなフードも、愛犬の体質や好みに合っているかが大切です。
まずは少量ずつ試しながら、無理なく続けられるものを見つけてあげましょう。
水分摂取の重要性
水をしっかり飲むことは、尿路結石の予防においてとても大切です。
体の水分が足りないと尿が濃くなって、結石ができやすくなります。一方で、水をたくさん飲むことで、老廃物やミネラルが尿として出やすくなり、結石のリスクが減ります。
犬はもともと水をあまり飲まないことがあるので、飲みやすくする工夫が必要です。
例えば、ドッグフードにぬるま湯をかけたり、ウェットフードやスープを作ったりしてみてください。また、常に新鮮な水を用意して、いくつかの場所に水飲み場を作ると、自然と飲む回数が増えるかもしれません。
水分の目安としては、体重1kgに対して約50mlが推奨されています。10kgの犬なら1日500mlくらいが理想です。暑い日や運動した日は、もう少し多めに飲ませるようにしましょう。
毎日の水分摂取を習慣にすることは、犬の健康を保つために大切なケアのひとつです。
定期的な尿検査の推奨
見た目に異常がなくても、体の中では結石ができ始めていることがあります。
だからこそ、動物病院での定期的な尿検査は、予防や早期発見にとても効果的です。
尿検査では、尿のpHや結晶の有無、感染の兆候を確認できます。症状が出る前に異常を見つけて、食事や生活習慣の改善につなげることができます。
特に、過去に尿路結石になったことがある犬や、リスクの高い犬種(ミニチュア・シュナウザーやダックスフンドなど)は、数か月に1回のペースでのチェックを受けるのがいいでしょう。
また、トイレに行く回数が急に変わる、尿の色が濃くなる、ニオイが強くなるなどの症状がでたときも、早めに病院に行くと安心です。
「元気そうに見えるから大丈夫」と思わず、健康なうちからチェックする習慣を持つことが、最大の予防になります。
適度な運動
毎日の運動は、尿路結石の予防にもつながります。
体を動かすことで血流がよくなり、代謝が活発になることで老廃物の排出がスムーズになります。
また、運動することで水を飲む量も自然と増えるので、尿の濃さを薄める効果もあります。
特に気をつけたいのは、運動不足からくる肥満です。体重が増えると尿の性質が変わったり、膀胱の機能が低下したりして、結石ができやすくなると言われています。
散歩やボール遊び、知育トイなど、無理のない範囲で日常的に体を動かすことが予防に繋がります。高齢の犬や持病のある犬の場合は、獣医師と相談して、負担の少ない運動量を考えてあげると安心です。
適切なフードとおやつの与え方
どんな食事やおやつを与えるかによって、尿路結石のなりやすさが左右されることもあります。特に、ミネラル(マグネシウム・リン)や塩分、カルシウムの量には注意が必要です。
これらが多すぎると、尿の中で結晶ができやすくなり、結石の原因になることがあります。
たとえば、人間用のチーズやかつおぶし、加工されたジャーキーやスナック類などは、知らないうちにマグネシウムやリンを取りすぎてしまうおそれがあります。
健康のためにと与えたものが、かえってリスクを高めてしまうこともあるのです。
日常的に与えるフードは、尿路結石予防を考えたものや、獣医師が勧める療法食を選ぶと安心です。また、おやつは与える回数や量を調整し、成分表示を確認することを習慣にしましょう。
フード選びで迷ったら、獣医師に相談して愛犬に合ったものを選ぶことが大事です。
犬の療法食について
これまでご紹介してきた通り、尿路結石の予防や治療には食事管理がとても重要です。
その中でも、体質や症状に合わせて設計された「療法食」は、結石の再発リスクを下げるための心強いサポートになります。
ただし、フードの種類や選び方、愛犬が食べてくれない場合の工夫など、実際に試す時には不安があるかもしれません。
ここでは、療法食のタイプや役割、続けるためのコツ、日常のおやつや一般フードとの付き合い方まで、無理なく実践できるヒントをご紹介します。
療法食の種類と作用
尿路結石のための療法食は、結石の種類によって目的や成分が異なります。ここでは、主な療法食のタイプとその特徴をまとめました。
結石の種類 | 療法食の目的 | 主な作用・特徴 | 注意点 |
---|---|---|---|
ストルバイト結石 | 結石の溶解と再発予防 | ・尿をやや酸性に保つ ・マグネシウムやリンの制限 |
細菌感染が多く、抗生剤が必要な場合も |
シュウ酸カルシウム結石 | 再発予防のみ | ・カルシウムやリンの量を調整 ・尿pHの調整 |
一度できた結石は溶けないので、再発防止が重要 |
その他・混合型 | 総合的な尿ケア | ・pH調整+水分摂取を促す ・体重管理や腎臓に配慮 |
犬の体質や病歴に合った食事が必要 |
療法食は、単に栄養バランスを整えるだけでなく、尿の状態をコントロールして結石ができづらい環境を作ることが目的です。また、ウェットタイプを選ぶと、水分摂取が増えて結石予防にもつながります。
愛犬の体調や生活習慣に合ったものを、獣医に相談して選ぶことが大切です。
療法食を食べない場合の対処法
愛犬が療法食を食べてくれないときは、無理に食べさせようとするよりも、工夫して食べやすくすることが大切です。以下に、よくある工夫と注意点をまとめました。
工夫のポイント | 具体的な方法例 | 注意点 |
---|---|---|
香りや食感を変える | ・少し温めて香りを立たせる ・お湯でふやかしてやわらかくする |
電子レンジで加熱する場合は熱くなりすぎないように注意 |
他のフードと混ぜる | ・獣医師に許可された範囲で一般食を少量混ぜる | 勝手に混ぜると療法食の効果が薄れることがあるので獣医師に相談 |
トッピングを工夫する | ・低リン・低マグネシウムの食材(例:かぼちゃ、ささみ)を少量のせる | 人間の食べ物や高脂肪のものは避ける |
食べやすい形に切り替える | ・ウェットタイプにする ・ドライから変更してみる |
フードの変更は徐々に行う |
ストレスを減らす工夫 | ・食事時間を落ち着いた環境に ・フードボウルを清潔に保つ |
嫌な記憶やストレスが原因で食欲が落ちる場合もあり |
「食べない=療法食が合っていない」とは限りません。
最初は慣れずに戸惑う犬も多いので、数日かけて少しずつ切り替えるのも一つの方法です。どうしても食べない場合は、無理せず獣医師に相談し、別の製品に変えるか、トッピングのアドバイスをもらうようにしましょう。
おやつやフードの選び方
日々のごはんやおやつの選び方ひとつで、愛犬の健康はぐっと守りやすくなります。特に、尿のトラブルを防ぐためには、毎日の食事管理がとても大切です。
おすすめのおやつは、脂肪が少なくて食物繊維が多い野菜や果物。たとえば「にんじん」や「さつまいも」は、体にやさしく歯ごたえもあり、食べる楽しさもあります。にんじんには毛づやをよくする栄養が、さつまいもには元気を保つ力がある成分が含まれています。
「りんご」もおすすめです。消化を助けたり、元気をサポートしてくれる栄養がたっぷり入っています。
※ただし、芯や種は犬には良くないので、取り除いてからあげてくださいね。
フードを選ぶときは、体に負担をかけない成分を意識するのがポイントです。尿の調子を整える工夫がされているフードは、トラブルの予防にも役立ちます。脂肪やミネラルが調整されているものや、吸収しやすい材料が使われているものが安心です。
また、香料や保存料が少ない自然なごはんを選ぶのも良い考えです。例えば、魚がメインのフードは、体の炎症をおさえる働きがあり、健康維持にも効果が期待できます。
毎日食べるものだから、ちょっとした気遣いが体調に影響します。
「おいしくて安心できるもの」を選んで、愛犬の元気をしっかりサポートしていきましょう。
まとめ
犬の尿路結石は痛みやつらさをともなうこともあるため、飼い主さんにとっても心配な病気のひとつですよね。でも、毎日の暮らしの中で少し意識するだけで、予防や早期発見につなげることができます。
「おしっこの様子がいつもと違うかも…」
「最近、水をあまり飲まないな」
そんな小さな気づきが、愛犬の健康を守る大きなヒントになります。
水分をしっかりとらせたり、バランスの良いフードを選んだり、排尿しやすい環境を整えたり。飼い主さんができることは、意外とたくさんあります。
療法食や尿検査などのサポートを上手に取り入れて、無理なく続けていくことが大切です。
愛犬の健康を守るのは、毎日そばにいる飼い主さんだからこそできること。
これからも、愛犬と安心して笑顔で過ごしていけるように、今日からできることを、少しずつ始めていきましょう。その積み重ねが、尿路結石の予防や再発防止につながっていきます。